巨額の借金
マンションの小さな庭の芝生にゴロンと寝転び、空を見上げた。
太陽が眩しくて、目を細くするとマンションの建物と道路を挟んだ向こうの家との間を雲が流れるのが見える。 その雲を目で追うと向かいの家の屋根に消えて行く。 芝生の匂いと空の青さに仕事の煩わしい事も忘れてしまう。 『お父さん、何をしてるの、気分でも悪くなったんか?』と声を掛けられて我に帰り世俗の世界へ引き戻される。 僕「あんな〜折角ええ気持ちで空に遊んでたのに〜」と答えたが、夫婦で居るとそんな小さな事も諍い(いさかい)の原因になろうか? だが僕も妻もそんな些細なことでは喧嘩にならない。 僕は妻にとんでもない借金があるのが逆らわない原因の一つなのだ。 『お父さん今晩あたりどう?』と夕食を食べながら妻は言う。 「よっしゃ、一丁行くか」と言っても夫婦のその行為ではなくて花札のことだ。 マッチをお金に換算して賭けるのだが僕はどうも弱くて負けが込み、妻に数十億円もの借金が出来てしまった。 『お父さん、この巨額の借金はいつ返してくれるのよ』とせかされても、無い袖は振れない「体で返すってのはダメですかね?」 『フンッ、そんなん要らん、現金がええわ』それは つれない伝兵衛さん。
by kattyan60
| 2005-02-09 20:24
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